セルジオと私 第2回 才木美紀子
セルジオと私、第2回は東京・横浜を中心に活動されているシンガー/ピアニストの才木美紀子さんです!
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Calm…Gently and Softly
Sergio Augusto、彼を知ったのは、ある日友人が貸してくれたCD「Bossa Nova Historia som & imagem」からでした。これは今では入手困難とされる私のバイブル。若き日のSergioが演奏する彼の代表曲「Deixa pra la」が収録されています。ご本人に聴かせたら、苦笑いしながら懐かしそうにうなづいていました。
憧れていたボサノヴィスタ、この曲を、まさか一緒に録音出来るとは夢にも思いませんでした。
Sergioはどこかブラジル人らしからぬ(?)ところがあって、約束した時間より早く迎えに行ったのに、いつも彼の方がずいぶん前から待ってくれていました。
旅先でもきちんとアイロンのかかった白い襟のシャツ、かっちりしたジャケットで登場したり、食事をした時味が足りないと言って、びっくりするほど塩やスパイスを何杯もかけて、何度も首をかしげて、好みの味になるとやっと笑って食べたり。
誰かと話していても、そこで鳴っている音楽にいつも耳を傾けリズムをとっていて、大音量や強い音には黙って目を伏せていました。
自分だけの素晴らしいギター奏法があったり。
そう、レコーディングでは厳しかったです。
前述のTomiさんの言うように、ひとつのことにとことん集中しこだわり続ける方でした。
納得のいくまで何度もやり直して、終わった後は何事もなかったようにお茶目にはしゃいだりして。
わたしが知っているのはほんの一部で、もっともっと、彼の「こだわり」は様々な面であったと思います。
こだわり、と言うと単なる頑固者のようで若干聞こえは悪いけれど、アーティスト、音楽家にはとても必要な要素だと思います。
このいくつもの「こだわり」が集中して、絶対的、圧倒的なSergio Augustoを作っていたのだと思うのです。
「Mikikoは自分と同じmethodで歌っている。Calm…Gently and Softly…」
いつかそう言ってくれたことがありました。
この3つは、彼の歌に対する部分のこだわりだったのかな。
この言葉は生涯忘れられない、今ではわたしの「こだわり」となって、歌うたび、抱え込んでいた余分なものを優しく解きほどいてくれます。
Sergioの最後のアルバム『Romance』
このタイトルこそ、まさに彼のこだわり。(笑) 聴いていただけたらきっとわかりますね。
この中の「Dos e Nos」というロマンチックな曲をDuetさせていただきました。
彼の目はキラキラ輝いていました。
わたしもこれからも「こだわり」続けていこうと思います。
Mikiko Saiki
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